去る8月17日、指揮者の小澤征爾が総監督をつとめる2019セイジ・オザワ 松本フェスティバル(OMF)が始まった。2年ぶりに小澤が松本入りするなど、音楽祭の熱気も徐々に高まるなか、20日には、まつもと市民芸術館でオペラ《エフゲニー・オネーギン》が開幕する。小澤とサイトウ・キネン・オーケストラのメンバーが絶大な信頼を寄せるファビオ・ルイージが指揮を、これまでも小澤との協働の多いロバート・カーセンが演出する。
18日に行われたゲネプロ(最終総稽古)を取材した。
(2019.8.18 まつもと市民芸術館 Photo:TERASHI Masahiko ※オネーギン役はカヴァーの大西宇宙が務めた。稽古のため衣裳、照明、その他、本番と異なる場合があります)
2001年ヤナーチェクのオペラ《イェヌーファ》以来のカーセン演出となる本公演は、カーセンが1997年にメトロポリタン歌劇場で初演したプロダクション。本作品で一番の聴かせどころとなる「手紙の場」を歌うタチヤーナ役には、エクサンプロヴァンス音楽祭、ワシントン・ナショナル・オペラ、ボリショイ歌劇場などでも同役を歌い絶賛を浴びたアンナ・ネチャーエヴァが、レンスキー役には、ザルツブルク音楽祭、ミラノ・スカラ座、メトロポリタン歌劇場ほか世界の数々の檜舞台で活躍し、新国立劇場でも2013年《コジ・ファン・トゥッテ》フェルランド、14年《ドン・ジョヴァンニ》ドン・オッターヴィオを披露したパオロ・ファナーレが起用されるなど話題も多いが、なかでも注目は8月20日の公演初日、題名役として当初予定されていたレヴァント・バキルチの代役を務めることとなった大西宇宙だろう。もともとオネーギン役にはマリウシュ・クヴィエチェンが予定されていたが、ファビオ・ルイージのもとフィレンツェ五月音楽祭に出演したレヴァント・バキルチがその代役に、そして大西はバキルチのカヴァー役を務めていたなかでの起用で代役の代役という形ではあるが、ジュリアード音楽院大学院に留学、15年、シカゴ・リリック歌劇場でアメリカ プロ・デビューし称賛を浴びた、今後の活躍が期待される逸材だ。国内では18年、ミハイル・プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団とチャイコフスキーのオペラ《イオランタ》(演奏会形式)に出演したが、本格的な舞台上演となるオペラへの出演は今回が国内初となるだけに聞き逃せない機会となった。(19日現在、22、24日公演については、バキルチがオネーギン役で出演予定)。
初日の当日券は、17時より、まつもと市民芸術館 窓口にてS席¥26,000、A席¥22,000、B席¥18,000を販売する。
【第1幕】
【第2幕】
【第3幕】
●【動画】オペラ《エフゲニー・オネーギン》「手紙の場」より(17日に行われたプレ・ドレスリハーサルより)
■チャイコフスキー:オペラ《エフゲニー・オネーギン》
2019年8月20日(火)開演 18:30、22日(木)開演 15:00、24日(土)開演 15:00(約3時間、休憩1回あり)
まつもと市民芸術館・主ホール
料金:SS¥30,000 S¥26,000 A¥22,000 B¥18,000 C¥10,000 D¥5,000
https://www.ozawa-festival.com/programs/opera-omf.html
●指揮:ファビオ・ルイージ
●演出:ロバート・カーセン
●出演
エフゲニー・オネーギン:レヴァント・バキルチ (20日は大西宇宙)
タチヤーナ:アンナ・ネチャーエヴァ
レンスキー:パオロ・ファナーレ
オリガ:リンゼイ・アンマン
グレーミン公爵:アレクサンダー・ヴィノグラドフ
ラーリナ夫人:ドリス・ランプレヒト
フィリーピエヴナ:ラリッサ・ディアトコーヴァ
トリケ:キース・ジェイムソン
隊長、ザレツキー:デイヴィッド・ソアー
合唱:東京オペラシンガーズ
ダンサー:東京シティ・バレエ団
演奏:サイトウ・キネン・オーケストラ